狭心症は冠動脈の痙攣や動脈硬化などによって、心臓の血管が狭くなっていることが発症の原因です。
そのため、状態を維持するためには狭くなった血管を広げる必要があります。
狭心症治療では硝酸薬が血管拡張効果を持つ医薬品として良く用いられますが、血管の痙攣を主症状とする異型狭心症・安静時狭心症には、カルシウム拮抗薬が第一選択薬とされています。
特に日本では狭心症の6割が冠動脈の痙攣によるものと言われているため、カルシウム拮抗薬の使用頻度はとても高いものです。
血管や心臓の筋肉は、収縮反応をするために細胞内にカルシウムイオンを取り込む必要があり、カルシウム拮抗薬はその取り込みを邪魔することで血管の収縮が起きないようにしているのです。
血管の拡張、痙攣抑制が主な作用であり、種類によっては心筋の働きを穏やかにする効果もあります。
現在臨床現場で用いられているカルシウム拮抗薬は、その多くが血管に優先して効果を発揮していく特性を持っているため、高血圧症の患者にも良く用いられる医薬品です。
カルシウム拮抗薬では血管拡張に伴う副作用の報告があり、立ちくらみや頭痛、徐脈などが報告されているために、服用時には注意していきましょう。
◎長時間作用する主なカルシウム拮抗薬
ノルバスク(一般名:アムロジピン)
アダラートCR(一般名:ニフェジピン)
◎心臓に選択的に作用する主なカルシウム拮抗薬
ワソラン(一般名:ベラパミル)
ヘルベッサー(一般名:ジルチアゼム)
生物の脈拍は、通常一定のリズムを繰り返すものですが、何らかの原因によってそのリズムが乱れてしまったものを不整脈と呼びます。
不整脈には大きく分けて三種類の状態が存在し、脈が飛ぶように感じる不整脈は「期外収縮」、脈が遅くなってしまう不整脈は「徐脈」、脈が速くなってしまう不整脈は「頻脈」と分類しています。
自覚症状がないままに発生している場合もあり、健康診断などの心電図検査を実施することで初めて判明することも多いのが特徴です。
不整脈は心臓の筋肉を動かしている電気信号に乱れが生じることによって発生し、加齢、呼吸や疲労、精神的なストレスなどによってもたらされています。
誰にでも起きる可能性があるものであり、心臓には何も原因がなく、発生頻度も低いものであれば、健康には問題のないものだと判断できます。
ただし、すべての不整脈が問題ないものというわけではありません。
心臓病、甲状腺疾患、肺疾患、高血圧症などの付随症状としても不整脈は見られ、そういった場合には不整脈を起こしている原因疾患の治療をする必要があります。
徐脈では脈拍が遅くなってしまうことで心停止を起こしてしまう危険性があり、また、頻脈が強く継続する場合には、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしてしまう可能性があります。
不整脈が単発ではなく、継続しているような感覚があれば、まずは病院で診察を受けた方がよいでしょう。
現在は不整脈に関わる治療は非常に進歩しており、しっかりと管理していれば不整脈が原因での致死的な状態となることはほぼありません。