高血圧の治療薬は、たくさんの種類が使用されています。
現在治療の中心となる分類だけでも、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬、β遮断薬の5種類が存在し、それらを患者の状態に合わせて組み合わせ、適正血圧を目指して治療を行います。
状態に応じて選択する治療薬が変更され、合併症がない高血圧であればカルシウム拮抗薬を第一選択としますが、糖尿病などを合併している場合にはARBやACE阻害薬を第一選択するというように、患者によって治療は異なります。
利尿薬は単独で用いた場合には降圧効果が弱く、高血圧の改善が難しいものですが、他剤と組み合わせて用いることで降圧効果を劇的に改善することが可能となります。
そのほか、心不全を患っている場合には、血流量を減らして心臓の負担を減らす必要があるため、利尿剤が第一選択となる場合もあります。
一言で利尿剤といっても、サイアザイド系、ループ系、K保持性、バソプレシン受容体阻害性と、4種類存在します。
利尿薬は、基本的に腎臓付近にある水分の排泄・吸収に関わるナトリウムやカリウムといった電解質ポンプに作用して効果を発揮しています。
ザックリと説明すると、ナトリウムが多くなれば水分は貯める方向に傾き、カリウムが多くなれば水分を排泄する方向に傾くのです。
サイアザイド系は利尿効果が穏やかであるため、他の降圧剤と併用して治療に用いることが多く、ループ系は腎臓を保護しながら利尿効果を発揮するため、腎機能が低下している患者に対して多く用いられます。
K保持性はカリウム(K)を保持しながら利尿効果・降圧効果を示し、アルドステロン受容体に作用して効果を発揮している利尿剤です。
アルドステロンは心臓・腎臓にも関係のあるホルモンであるため、心不全の患者に良く用いられます。
また、降圧効果にも優れるため、高血圧症にも多く用いられます。
最後にバソプレシン受容体阻害薬ですが、これはカリウムやナトリウムなどの電解質に影響せず、水分だけを排泄させる効果を持っています。
強力な水排泄効果があるため、肝硬変や心不全による体液貯留が起きている場面でも使用されますが、副作用の発現リスクもあるために使用には注意を要する医薬品です。
- ◎ループ系利尿薬
- ラシックス
- ルプラック
- ダイアート