アバナ（アヴァナフィル）

アバナはインドの製薬会社サンライズレメディーズ社(Sunrise Remedies Pvt.Ltd)が製造するED治療薬で、日本では未認可となっているステンドラのジェネリック医薬品です。
アバナの先行医薬品であるステンドラは、2012年4月にアメリカFDA(アメリカ食品医薬品局)から認可されたばかりであり、バイアグラ、レビトラ、シアリスに次ぐ第4のED治療薬です。
アバナの有効成分であるアバナフィルは元々は日本の田辺三菱製薬が、従来のED治療薬には無い即効性があってなおかつ副作用が少ないED治療薬として開発を進めていたのですが、田辺三菱製薬が2001年2月に日本及び一部アジアを除く全世界での製造及び販売権をアメリカのヴィーヴァス社(Vivus)に対して許諾し、2012年にFDAでの認可を受け発売したものです。
先発医薬品のステンドラ自体が発売後間もないためにアバナもまだ新しいED治療薬なのですが、即効性と扱いやすから人気のED治療薬となっています。

アバナの有効成分であるアバナフィルは食事の影響を受けにくいED治療薬であると言われていますが、使用方法についてどのような点に注意すればよいのでしょうか。
アバナの詳しいデータは得られませんでしたので、先行医薬品であるステンドラのデータから見ていきます。
このステンドラの使用上の注意書きにも食事を気にせず内服しても良いと記載されているのですが、データでは高脂肪食と一緒に服用した場合には1時間以上効果の発現が遅れるとともに、最高血中濃度が40%ほど低下する、つまりは40%ほどステンドラの効果が低下するとなっています。
高脂肪食に限らず脂っこいものを食べると胃壁や腸壁に油膜を形成してしまい、薬剤の吸収が著しく低下することは良く知られていることで、ステンドラの吸収についても同様のことがいえるようです。
またデータから言えることは、食後にバイアグラを服用した場合においても1時間半以上の効果発現の遅れと最高血中濃度が40%ほど低下するとなっていますから、ステンドラ服用に際してはバイアグラと同程度の注意をもって服用することが望ましいと言うことです。
これらのことからアバナ服用の際は空腹時が望ましく、水またはぬるま湯と一緒に飲むと言うこと。
またこの場合には30〜45分程度で最高血中濃度に達し効果が発現しますので、性行為の30分前に服用すれば良いでしょう。
また効果出現後3〜6時間程度その効果が持続します。
食後に服用する場合は、バイアグラと同じく食後2時間ほど経過してから服用してください。
また食事は脂っこいものを避け、あっさりとした食べ物を腹7〜8分目程度に抑えて食べてください。
脂っこいものは先に記した通りで吸収を著しく妨げるためであり、あっさりとした食べ物は2時間程度で消化されますので、その後にアバナを服用すれば空腹時と変わらない効果が期待できるためです。
アバナの服用とアルコールの関係ですが、アバナの作用によって酔いがたいへん回りやすくなりますので、できれば避けた方が良いでしょう。
アルコールによってアバナの効果が半減したり全く効果が出ない状態となる恐れがあるからです。

アバナの有効成分アバナフィルもPDE-5阻害薬という位置付けであり、他のED治療薬と同じであると言えます。
まずは勃起の仕組みから見ていきましょう。
視覚や性的な想像であったり、直接陰茎に刺激が加わるなどによって大脳で性的興奮を生ずると、その興奮が神経を通って陰茎へと伝えられます。
この際の体内細胞より一酸化窒素が放出され、一酸化窒素が陰茎海綿体へ放出されることでcGMP(サイクリックグアノシン1リン酸)が作り出されます。
このcGMPには血管拡張作用があり、陰茎の動脈が広がることで大量に血液が流れ込み、毛細血管から陰茎海綿体へと血液が充満しその圧力によって勃起します。
また勃起することで陰茎海綿体の静脈が圧迫し塞がり、血液が海綿体から流れ出なくなるために勃起を維持することができるのです。
ただしこのまま勃起状態を維持し続けるのは弊害もあるため、興奮状態がおさまった場合には勃起が収束するようになっています。
陰茎海綿体にはPDE-5(ホスホジエステラーゼ-5、phosphodiesterase-5)という酵素があって、cGMPを中和することで血管の拡張を抑えて陰茎海綿体への血液の流入を防ぎ、またこれによって陰茎海綿体の静脈の圧迫が開放されて勃起状態がおさまるのです。
EDは糖尿病や高血圧と言った生活習慣病によって動脈硬化を引き起こし血管が狭められるために起こったり、日頃のストレスや睡眠不足などなど様々な要因が組み合わさって起こります。
アバナを服用することで血管拡張作用が起きるとともに、勃起を阻害する原因となるPDE-5の働きを止めることで勃起に至るようにサポートします。
アバナを服用したからと言って直ちに勃起したり、勃起し続けることはありません。
あくまで性的興奮が起こって陰茎へ伝わり、一酸化窒素の放出やcGMPが作り出されたときの血管拡張をさらに起こしたり、PDE-5の働きを阻止するのがアバナの働きです。

アバナの有効成分はアバナフィルです。
このアバナフィルは、日本の田辺三菱製薬が即効性があって副作用が少ない勃起不全治療薬として開発を進めてきたお薬で、2001年2月に田辺三菱製薬がアメリカのヴィーヴァス社に対し、日本およびアジアの一部を除く全世界における開発および販売権を許諾し、2012年4月27日アメリカFDA(アメリカ食品医薬品局)による承認を取得し、ヴィーヴァスが販売提携先であるアイルランドのエンドー(Endo)傘下のオキシリウム製薬会社(Auxilium Pharmaceuticals, Inc)を通じて「ステンドラ」の名称でアメリカで発売を開始しました。
またヨーロッパでもヴィーヴァスの販売提携先であるイタリアの製薬会社メナリーニ(menarini)によりスペドラ(Spedra)の名称で2014年3月に発売されています。
また韓国のJWファーマは田辺三菱製薬から開発・販売するために必要な許可を得て、2011年11月よりゼピード(ZEPEED)の名称で発売されています。
アバナフィルは他のED治療薬と同じくPDE-5阻害薬に分類され、勃起を阻害する酵素であるPDE-5を選択的に阻害することでcGMPを増加させ、また血管を拡張させることで陰茎への血流量が増加することで勃起不全を解消する薬なのです。

アバナの副作用として良く出現するものは、頭痛、顔の火照りや赤み、鼻づまり、背中の痛み、鼻咽頭炎と言ったもので他のED治療薬と似通っていますが、いずれのED治療薬も血管拡張に伴う血流量の増加や血圧の低下を原因とするもので、アバナにおいてもこれらの副作用の出現が効果が出始めた証拠であるとの認識で問題はありません。
アバナの効果が消失する頃までにはこれらの副作用も消失しますので、特に心配はいりません。
稀に出る副作用として一過性のものですが視覚障害があります。
少しの明かりにもかかわらずまぶしく感じることがあったり、周囲が青っぽく見えると言った症状です。
一過性のものですのであまり心配はいりませんが、自動車を運転する場合などには注意が必要でしょう。
重篤な副作用として、4時間以上の勃起の延長や持続勃起と言った症状が外国でごく稀ですが報告されています。
持続勃起は速やかに処置を行わなければ、陰茎組織の損傷や勃起機能を完全に失ってしまうことになりますので、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

アバナには併用禁忌薬が数多く指定されており、バイアグラやレビトラ、シアリスよりもその種類が多いので注意が必要です。
アバナの併用禁忌薬としては硝酸薬がまず挙げられます。
併用すると異常な血圧低下が急速に起こり、非常に危険な状態となるためです。
なお硝酸薬は一般的に「ニトロ」と呼ばれているものです。
アイスラール錠20mg(ニトルビン錠5)
アイトロール錠10mg/20mg(ニトロールRカプセル20mg)
アイロクール錠20mg(ニトロール錠/ニトロール錠5mg)
亜硝酸アミル(ニトロールスプレー)
アパティアテープ(ニトロール持続静注25mgシリンジ)
アンタップ/R(ニトロール注5mg/50mg/100mg/5mgシリンジ)
イソコロナールR(カプセルニトロール注バッグ50mg/100mg)
イソニトール錠20(ニトログリセリン舌下錠0.3mg[NK])
イソピット(ニトログリセリン注25mg[HK]/50mg[HK])
イソモニット錠20mg(ニトロダームTTS)
エスタット錠5mg(ニトロバイド錠5mg)
L-オーネスゲン錠(ニトロペン舌下錠0.3mg)
カリアントSRカプセル20mg(ニプラジロールPF点眼液0.25%「日点)
冠動注用ミリスロール0.5mg/10mL(ニプラジロールPF点眼液0.25%「TOA」)
コバインター錠5mg(ニプラジロールPF点眼液0.25%「サワイ」)
コンスピット錠(ニプラジロールPF点眼液0.25%「ニッテン」)
サークレス注0.05%/0.1%(ニプラジロールPF点眼液0.25%「わかもと」)
サワドールL錠(ニプラノール点眼液0.25%)
サワドールテープ40mg(ハイパジールコーワ錠3/錠6)
ジアセラL錠/シアセラL錠20mg(ハイパジールコーワ点眼液0.25%)
シグマート錠2.5mg/5mg(バソレーター注5mg/注50mg)
シグマート注2mg/12mg/48mg(バソレーターテープ27mg)
シグランコート錠2.5mg/5mg(バンソレータ軟膏)
ジドレンテープ(バンリール錠20mg)
シベラント錠5mg(フランドル錠20mg)
硝酸イソソルビド錠[ツルハラ](フランドルテープ40mg)
硝酸イソソルビドテープ[EMEC](ヘルピニン-Rカプセル)
シルビノール錠5mg(ミオコールスプレー0.3m)
ステンベルガー錠5mg(ミオコール注5mg/50mg)
ソプレロール錠20mg(ミニトロテープ27mg)
タイシロール錠20mg(ミリステープ5mg)
ニコランジス錠2.5mg/5mg(ミリスロール注1mg/2mL)
ニコランジル点滴静注用2mg「サワイ」(ミリスロール注5mg/10mL)
ニコランジル点滴静注用12mg「サワイ」(ミリスロール注25mg/50mL)
ニコランジル点滴静注用48mg「サワイ」(ミリスロール注50mg/100mL)
ニコランタ錠5(メディトランステープ27mg)
ニコランマート錠/ニコランマート錠5mg(リファタックL錠)
ニトプロ持続静注液6mg/30mg(リファタックテープ40mg)
ニトプロ注2mL/10mL(リベラステープ)
ニトラステープ/ニトラステープ40mg
経口真菌剤も併用禁忌薬に指定されています。
リトナビル(ノービル)
インジナビル(クリキシバン)
サキナビル(インビラーゼ)
アタザナビル(レイアタッツ)
ケトコナゾール
イトラコナゾールなど
抗生物質にも併用禁忌薬があります
クラリスロマイシン
テリスロマイシン
エリスロマイシン
降圧剤と言った血圧を下げる薬やα遮断薬も併用禁忌です。
他のED治療薬との併用も禁止されています。

アバナの保管について特にシビアにする必要はなく、高温多湿な場所や直射日光が当たる場所を避ければ問題ありません。
また冷蔵庫などへの保管も特に必要はありません。
シートから外れてしまった場合ですが、ピルケースなどに入れて保管すればよいです。
ピルケースに空間が生じて錠剤が破損する恐れがある時には、ティッシュペーパーを詰めるなどして破損を防止してください。

アバナは服用すると直ちに勃起したり性的興奮を催すような、精力剤や媚薬と言ったお薬ではありません。
性的興奮が起こったのちに、勃起の阻害要因であるPDE-5と言う酵素の働きを阻害することによって勃起をサポートするお薬です。
また服用後効果が継続している間ずっと勃起し続けるような薬でもありません。
下記のような方はアバナを服用できません。
アバナフィルを有効成分とするED治療薬等を服用後アレルギー反応が出た方。
不整脈、狭心症または心不全などの持病があり、性行為を行うこと自体を避けた方が良い方。
脳梗塞や脳出血または心筋梗塞を6か月以内に起こした方。
最大血圧が90mmHg未満または最小血圧が50mmHg未満の低血圧の方。
安静時収縮期血圧が170mmHg以上または最小血圧が100mmHg以上の治療による管理が行われていない高血圧の方。
変形や屈曲など陰茎の構造上欠陥を有する方。
鎌状赤血球貧血、多発性骨髄腫、白血病など血液細胞に問題がある方。
網膜色素変性症の方。
重度の肝機能障害がある方。
腎臓機能障害がある方や人工透析を行っている方。
アバナは1日1回のみの服用です。
また前回の服用から24時間以上は必ず空けてください。
アバナは基本的に100mgを使用することからはじめ、効果が出ない場合にのみ200mgまでの増量ができます。
用法用量は必ず守ってください。

アバナの有効成分であるアバナフィルはアメリカをはじめ欧米各国で臨床試験が行われ、その安全性が確認されたED治療薬です。
併用禁忌薬を使用している人やアバナの服用に問題がある人は当然服用できませんが、用法や用量を守って使用すれば重篤な副作用も起こりにくく、安全に使用することができます。